2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震

このページでは,衛星データ等について産総研にて処理・解析した結果を公表していきます

・PALSAR画像による2008年岩手・宮城内陸地震の被害域推定

松岡 昌志(産業技術総合研究所 情報技術研究部門)
(公開:2008/6/18)

2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震では中山間地を中心に地すべり等の地盤災害が多数発生している。効果的な災害対応や今後の復旧復興のために被害の全体像を把握する目的で,人工衛星「だいち」の合成開口レーダセンサ(PALSAR)画像による広域被災地推定を試みた。使用したデータは地震の3日後に被災地を観測したScanSARモードの画像である。
Fig.1にScanSAR画像と対象地域を,Fig.2に地震前(2007年3月15日と2007年6月15日)と地震後(2008年6月17日)のPALSAR画像を示す。


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Fig.1 2008年6月17日観測のPALSAR ScanSAR画像.白い矩形は解析対象地域


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Fig.2 地震前後のPALSAR(ScanSARモード)画像



Fig.2に拡大して示している荒砥沢ダム上流での大規模地すべりは目視によっても判読が可能であるが,人が広域について画像判読することは,時間と労力さらには経験が必要であり,災害対応期においては現実的な方法ではない。そこで,画像処理による変化域の自動抽出を試みた。
まず,3時期の画像の正確な位置合わせを行った。そして,スペックルノイズ低減フィルタを施した後,地震前のペア(2007年3月15日と2007年6月 15日)の相関係数と地震前後のペア(2007年3月15日と2008年6月17日)の相関係数を算出,そして,その差分(相関係数の低下, rdif)を求めることで,地表変化域を抽出した。(手法の詳細は参考文献の*1,*2を参照)
Fig.3に相関係数の差分画像を示す。暖色系の地域ほど(rdifが小さいほど)被害の可能性が高く,地震動が大きかった地域に緑~赤色の地域が目立つ。また,拡大図に示すように,大規模な地すべり(荒砥沢ダム上流部や東栗駒山の山腹)についても概ね検出している。ただし,山岳部における細かな変化域について地すべりなど地震に起因した被害かどうかの検証が必要であり,低地部については,田畑の変化や宅地開発,建物の増改築なども変化として検出しているため注意が必要である。
ここでは,地震後の早い時期に観測されたScanSAR画像を用いたが,地上分解能が約100mと比較的粗いため,検出できる被害には限界がある。今後,より高解像度であるFBSモード画像についても検討し,PALSAR画像の被害検出能力を調べる予定にしている。


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Fig.3 地震前後のPALSAR(ScanSARモード)画像から抽出した変化域(rdifの値が小さいほど変化が大きい)


[参考文献]

*1: Masashi MATSUOKA: Use of ALOS/PALSAR Imagery for Monitoring Areas Damaged due to Recent Natural Disasters, Disaster Forewarning Diagnostic Methods and Management, Proc. of SPIE, Vol.6412, ID641204, 7p., 2006.11.
*2: 松岡昌志,堀江啓,大倉博:人工衛星SAR画像による被害地域検出手法の2004年新潟県中越地震への適用と高度化,日本建築学会構造系論文集, No.617, pp.193-200, 2007.7.

[謝辞]

PALSARデータは経済産業省および宇宙航空研究開発機構が所有し,本研究では資源・環境観測解析センターから提供を受けた。関係各位に感謝いたします。



関連リンク:

: 地質調査総合センターの地震速報

問い合わせ先:

geogrid_query at m.aist.go.jp

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iwamiya earthq (last edited 2008-06-27 06:22:27 by Shinsuke KODAMA)